近所の森に毎日のように通っている。月に何度かエゾシカに遭遇する。ほとんどの場合にこちらよりもエゾシカが私を発見し、踊るようにして森の向こうにあっという間に消えていく。エゾリスはもっと見る回数が多く、時には狸や狐、カラスなどに出会うことが多い。森にいる時間が多いと、そこに暮らす動植物に触れる機会も増える。現代の都市生活の隣にある森は、思っているよりも多様で賑やかで動植物で豊かで楽しい。森のあの辺りでは鹿とよく出会う。右のほうではキネズミが走り去ることが多い。山道を歩いていると、針葉樹林が密集しているところがあったりする。手入れされているところもあれば、倒木もそのままに薄暗くたたずんでいる場所もある。
数年前から、民話においてたびたび登場するマタギの話を切っ掛けに、マタギ文化や狩猟について時間を見つけては本を読んだりしていた。先細りするマタギ、狩猟という文化の反動は、害獣として農作物に悪影響を与える動物たちの無垢な被害を産んだ。その一方で消費されるべく精肉としての生き物の肉は、工場のような施設で日々生産され、きれいにパックされて小売り先へと流通している。
環境に人は暮らす。今一度立ち止まって、手の届く環境に目を向けてみよう。そのきっかけとして、「狩猟」というキーワードは、産業革命から高度経済成長を経て、成長曲線を下り始めたこの社会にとって、忘れていた何かを想起するきっかけになるに違いない。コロナはそのきっかけを与えてくれた。あまりにも強く。
このサイトでは、今後の社会を考えるうえで自然と人との交点として「狩猟」というキーワードに着目し、その価値を多方向から検証しながら、これからの新しい人と自然との関係を考えていくために構築しました。
新しさとは、返り見ることによって新たに生まれる視座なのかもしれない。
情報を整理して一過性ではない文化としての狩猟を考えるためのデータベースとして機能してゆきたいと考えています。
本サイトは、北海道在住のメンバーを中心に、猟師情報、狩猟情報を掲載しています。掲載してほしい情報等はお問合せページより連絡をお願いいたします。
NEW HUNTING 編集部