北海道の猟師、姉崎等さん

1923年生まれの北海道千歳市の猟師。ルーツはアイヌ民族。2013年に他界されています。 

名著「クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人姉崎等」は、狩猟に興味がある方だけではなく、北海道のアウトドアに関心がある方には必読の書ではないでしょうか。熊との向き合い方について多くの示唆に富んでおります。

「私は、クマを自分の師匠だと本気で思っています。」から始まる数々の言葉。経験に裏打ちされた言葉には重みがあります。

驚いたのが、文中、千歳市蘭越のアイヌが良く使っていたという2メートルほどの杖についての話。それを使ってアイヌの古老は雪の急な斜面を滑るように下って行ったという話が合った。スノーシューを履いていれば、体重を背中側にかけて、スノーシューの浮力でふわふわと下ることはできるが、きっとそれができないような坂道を下っていることを想像して読んでいた。

この、マタギの特集番組を見ると、東北のマタギが熊を仕留めた際に、それと同じような下り方をしていたのだ。動画の40分過ぎぐらいからそのシーンが写る。東北にはアイヌ語の地名もあり、無関係ではないことが明確に分かってとても興味深かった。

千歳から山を歩き、札幌在住の方であれば車で通ったことのあるだろう中山峠から見下ろせる山々が姉崎さんが歩いたフィールドでした。

熊を追い、熊と向き合い暮らした実直な言葉からあふれ出る自然への深い理解に魅了されます。