狩猟してみたい、狩猟に興味があるという際に手に取ってみたい書籍を独断と偏見でピックアップしました。技術的な側面ではなく、文化的側面、民俗学的な側面でのセレクトです。先ずは読みやすさを優先して、手軽に興味関心を持ってもらえるような基準で選択しています。
また、狩猟の持つ民俗学的な側面の豊かさの片りんを感じ取れるような本を含めてみました。
ぼくは猟師になった 千松 信也

狩猟というと、鉄砲を担いで獲物を追い回すようなイメージが強い中で、猟銃を使わずにわなで獲物を捕獲して食べるというスタイルの千松さん。
ぶれない信念と、楽しみながら狩猟スタイルを確立していく様子に心奪われます。自然との共生とは何か考えるうえで、有意義な視座をもたらしてくれます。
木についた傷や足跡などからシカやイノシシの気配を探る。網をしかけ、カモやスズメをとる。手製のワナをつくる。かかった獲物にとどめをさし、自らさばき、余すところなく食べ尽くす―。33歳ワナ猟師の日常は、生命への驚きと生きることの発見に満ちている。猟の仕方、獲物のさばき方から、自然と向き合う中で考えたことまで。京都の山から見つめた若者猟師の等身大の記録。
内容(「BOOK」データベースより)
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同作家のこちらの著作もおすすめです。イノシシやシカだけではない、文化としての狩猟の奥深さに触れることができます。
わな猟ってかっこいいな、と感じました。
羆撃ち 久保 俊治

ハンターとして生計を立て、猟犬を育て、暮らし、獲物を仕留める。
ノンフィクションですが、物語以上にダイナミックに誠実に営まれる暮らしに惹きつけられます。
一人の青年が猟師として生きる道を選び、山に入り獲物を追う克明な記録。ハードボイルドな小説を読んでいるような感覚もあり、冷えた手を捕った鹿の体内に入れて温めるという、猟師にしかできない経験を積んでいく様子が克明につづられています。
かつては、毛皮や内臓や肉などを販売することで生計がたてられていたこともわかります。
日本で唯一の羆ハンターと美しき猟犬との熱い絆の物語。日経新聞、北海道新聞、週刊文春、NHKほか多数で取り上げられ、大絶賛されたノンフィクションがついに文庫化!「涙でページがめくれない」との声が多数!著者の久保俊治氏は北海道で羆のみを追う日本で唯一のハンター。相棒の北海道犬「フチ」との出会いから、リアリティに充ち満ちた狩猟、アメリカ留学、帰国、そして再びの猟生活を類い希なる表現力で描く。椎名誠氏は「男が野生の風になる瞬間を知った。その研ぎ澄まされた感性に羨望する」とコメントを寄せている。
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山のクジラを獲りたくて―単独忍び猟記 武重謙

もともとは東京でシステムエンジニアだったという著者が、旅を経て狩猟への興味を具現化させて一人前の猟師になってゆく様子を収めた一冊。
実技とともに思考のプロセスが丁寧につづられていることで、一緒に猟に出たような気持になる一冊。
「山のクジラ」を獲りたくて始めた銃猟初年~2年目の様子を描いた単独忍び猟記、全27話を収録。
猟銃を担いで、犬も連れずにたったひとりで山に入り、動物の足跡や糞などの痕跡を読み取り、気取られないようにゆっくり忍び歩く。目的の場所に到着して待っていると、枯れ葉を踏み歩く音が聞こえてきた、その正体は――。
本書には、著者の成功談と失敗談を織り交ぜた緊迫の単独猟の世界に身を置くことができる内容が満載です。
さらに、これから単独忍び猟を始めるハンターに有用な基礎知識集も収録しています。
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クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 姉崎 等 片山 龍峯

熊の通ったルートを通り、山中で夜を明かし、山を歩き猟を続ける。熊と至近距離でにらみ合う。
北海道の自然を考えるうえで欠かすことのできないヒグマへのこれまでの経験で培ってきた経験から紡がれた言葉を読むことで、木々に囲まれた遠くの山奥が豊かに見えてくるはずだ。
クマと遭遇したとき、人間は生き延びるために何をすればいいのか。死んだふり、木に登る、リュックを置いて逃げるといった、巷に流れる俗説は有効なのか?「クマは師匠」と言うアイヌ民族最後の狩人が、アイヌの知恵と自身の経験から導き出した、超実践的クマ対処法を伝授。クマの本当の姿を知ることで、人間とクマの目指すべき共存の形が見えてくる。
山に生きる人びと 宮本 常一

民俗学者である宮本常一の著書。
歩き、聞き、フィールドワークによって蓄積された山に暮らす人々の知られざる姿が輪郭を伴って立ち現れてくる一冊。
山には「塩の道」もあれば「カッタイ道」もあり、サンカ、木地屋、マタギ、杣人、焼畑農業者、鉱山師、炭焼き、修験者、落人の末裔…さまざまな漂泊民が生活していた。ていねいなフィールドワークと真摯な研究で、失われゆくもうひとつの(非)常民の姿を記録する。宮本民俗学の代表作の初めての文庫化。
マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り 工藤 隆雄

妖怪なのか幽霊なのか、経験という指標が示す不思議な話は、自然と人との交点として有効に作用するだろう一冊。
マタギたちが経験した山での不思議な経験を、長年にわたって取材、書き下ろした実話譚。
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北海道 くまひゃっくん
番外編として、熊の生態を知る上での名著。
北海道の山に入る人には読んで欲しい一冊。
¥ 550とお土産にも良さそう。
