「全日本鹿協会」 – 鹿について知りたいすべての方へ

前回の記事では「知床エゾシカファーム」による、捕獲したエゾシカの飼育について取り上げた。

それから気になってもう少しエゾシカ飼育の可能性について調べてみたのが今回の記事である

平成2年に設立された「全日本鹿協会(旧名:全日本養鹿協会)」にたどり着いた。

この会の概要について先ずは引用する

全日本鹿協会(旧名:全日本養鹿協会)は、日本鹿の生態、養殖および利用などに関する総合的な事業に取り組むために平成2年に設立された団体です。

無為に捨てられているシカを資源として活用することで、地域の再生復興に資することです。

そのために、鹿の資源としての持続的な活用方法を探求しています。

http://nihon-shika.info/?page_id=4

具体的な取り組みを続いて引用する

当協会は、日本鹿の資源的利用を進展させるための全国的組織として、

①鹿および養鹿に関する調査研究、情報の収集および提供

②鹿の資源的利用法、飼養管理、衛生技術の改善、普及

③鹿に関する研修会、研究会の開催

④国際交流

⑤印刷物、出版物の刊行等

を行うことで人と鹿の共生を目的としております。

http://nihon-shika.info/?page_id=4

野生動物の中でも鹿にスポットを当てて、人との共生について具体的な取り組みを行っていることがわかる。

その中でも今回目を引いたのが協会が発行している「日本鹿研 究 第11号 (2020 年 6 月)」である。

Web上にPDFがuploadされていて全文を確認することができるのでありがたい。

一覧はこちら。

刊行物紹介 - 全日本鹿協会

11号への直リンクはこちら。

全日本鹿協会 - 鹿について知りたいすべての方へ
wp-content/uploads/2020/06/shikaKen11.pdf

11号では「鹿の飼養について」が特集されている。

北海道内では知床エゾシカファームだけではなく、釧路にある阿寒グリーンファーム、根室市にあるユック、豊富町にあるサロベツベニソンという施設でエゾシカの飼育をしていることが1ページ目の図から読み取ることができた。今後、知床エゾシカファーム以外についても概要を確認しておきたい。

飼料においては、エゾシカの短期飼育の実情として、飼育方法や販路、飼料開発などについて貴重な情報が紹介されている。また、特集外でもドイツの狩猟文化の紹介や実情の紹介などもあり、より広い視野で資料について学ぶことができる貴重な資料と言える。

ジビエ安定供給のための仕組みとしての鹿の飼育には良い点ばかりではなく、そもそもの設備投資だけではなく飼料費をはじめとする運営コストがあることも見逃してはならないポイントである。

このあたりのことは3号の阿寒を例にした記事などでも指摘されているとおりであろう。

さらに、コスト面でも問題があり、捕獲効率が高い雪の多い年は、除雪費や給餌費用もかかり痩せている個体が多く、捕獲後に多額の飼育費用がかかる。

http://nihon-shika.info/wp-content/themes/deer-society/pdf/shikaKen03.pdf

狩猟に興味がある方や、ジビエ食材としての鹿肉の可能性に着目している方、今後の狩猟という文化について向き合っていく人にとっては目を通しておいて損はないはずだ。

http://nihon-shika.info/
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